またしても快挙の予感、大坂なおみ選手が、
全豪初の決勝進出です!
確かに彼女の潜在能力は去年の全米で、
セレナウィリアムス選手を破って優勝した
事で、いつでも優勝を狙えるものである
という事はすでに証明済みですが、その
潜在力を持つ選手は、女子テニス界には、
わんさかいるのです。ここ数年の4大大会
で、セリーナウィリアムス選手以外は、
優勝者がかつてないほどのバリエーション
であるのも、そのためでしょう。
それだけ女子テニス界は、戦国時代だという
事です。
男子のようにジョコビッチを筆頭とした
ビッグ4に集中しているのとは大違いなの
です。
つまり潜在力はあっても、そのまま消え
去ってしまうような選手も結構いるという事
です。
そんな厳しい女子テニス界の中にあって、
去年の全米を制した大坂なおみ選手が、
最も勢いがあるといってもいいでしょうが、
それでも互角の選手だらけだという事なの
です。
それでもこの10年間の女子テニス界は
セリーナ・ウィリアムス選手が、圧倒的な
優勝回数を誇っているので、今大会も
優勝の最有力候補でした。なんとその
セリーナ・ウィリアムスを破って、準決勝
に進出してきたのが、今日の相手、
カロリナ・プリスコバ選手なのです。
しかもこのプリスコバ選手には、去年東レ
パンパシフィックオープン決勝で敗れて
います。
全米を制したあとの凱旋帰国での、日本
での大会だから、勝ちたいといっていた
大坂なおみ選手だったのですが、決勝で
このプリスコバ選手に敗れてしまうのです。
もちろん気負いもあったでしょうし、母国
という事でのカタさもあったでしょうが、
やはりプリスコバ選手の質の高いゲーム
運びに翻弄されてしまったという事なの
だと思います。彼女はすでに世界ランキング
1位も経験していて、経験豊富なので、
セリーナを倒して勢いに乗る彼女は、簡単に
倒せる相手ではないと、充分に大坂選手も
わかっていたはずです。
さてそんな強敵に対して、大坂選手の取った
作戦とはなんだったのか?
なんとそれは第1セットの第1ゲームから、
誰にでもわかるくらい、わかりやすいもの
だったのです。
それは、高速サーブを武器にしている
プリスコバ選手の、ファーストサーブを、
コートに入ってリターンするという、一見
無謀な作戦だったのです。
普通第1サーブはスピードがあるため、
コートの後ろに下がって、リターンしない
と、全くついていけずに、触るのが
やっとというものなのですが、大坂選手
には、勝算があったのでしょう。まるで
セカンドサービスを受ける時のように前に
出て、リターンしようとしたのです。
もちろん反応さえうまくいけば相手の
サービスのコースを打ち消す事ができる
というメリットも確かにあります。
ファーストサーブを、もしリターンして、
成功したら、プリスコバ選手には、大変な
プレッシャーを与えるのは間違いない
というところだったのですが、なんと
第1セットの第1ゲーム、30-15
でプリスコバリードの場面でそれを成功
させてしまったのです。ファースト
サービスに、目にも止まらずに反応した
大坂選手のリターンは、ライジングの
カウンターとなって、素早く相手コートに
返っていきます。速いサーブがまた同じく
速く返ってくるので、内心プリスコバは、
ぎくっとなったはずです、そのまま
そのポイントは、大坂選手のものになりま
した。
なんと試合の最初から、作戦が成功して
しまったのです。そのすぐ後のポイントを
なんとダブルフォールトで落としてしまった
プリスコバ選手は、なんとかこのゲームを
獲ったものの、この時のショックは後々まで
響く事になるのです。
つまり心境はこういうものだったでしょう。
「自分の絶対的な長所が、大坂選手には、
絶対的に通用するわけではない」という事
です。
大坂選手はその精神的なアドバンテージを
早速第1セットの第3ゲームで、活かす
事になります。
プリスコバのサービスゲーム。ジュース
のあと、プリスコバがファーストサーブを
入れているのにもかかわらず、連続
ポイントを奪ってブレークしたのです。
これで相手の長所のサーブを封じ込めた
勢いで、第1ゲームを獲る事になります。
しかし、相手も実力は全くの互角、
第2セットに入って、ファーストサーブの
確率が落ちた大坂選手を攻めて、第2セット
を獲り返してしまうのです。
やはり前の試合にセリーナ・ウィリアムス
選手に、何度もマッチポイントを握られ
ながらも、粘って逆転したプリスコバ選手
の勝負強さは本物でした。
セットを取り返した、プリスコバ選手の方が
第3セットの序盤は、やはり有利な流れに
ありました。
プリスコバ選手のサービスキープで始まった
第3セット、直後の第2ゲームで、大坂
選手は、ブレイクのピンチを迎えてしまい
ます。ファーストサービスの確率が上がら
ない中、なんと3度も相手のブレイク
ポイントのピンチを迎えるのです。
もちろんそのうちの一つのポイントでも
落としてしまったら、流れからいって、
完全にプリスコバ選手のぺースになるのは
誰の目にも明らかだったのです。
ですが、そのピンチでも大坂選手は攻め
ました、普通そういうミスの許されない
ポイントでは、守りに入るのですが、
大坂選手はミスを恐れずに攻める
ストロークで、相手からエースを奪うの
です。これが彼女を全米で優勝に導いた
テニスなんだと思えましたね。
その攻めのストロークが決まるたびに、
大坂選手の「カマーン」という叫びが
屋内のテニスコートに響き渡ります。
会場を制圧するような、彼女の心の
パワーが場を支配していました。
とうとうこの劣勢のサービスゲームを
キープすると、なんとその勢いで、
直後のプリスコバのサービスゲームを、
ラブゲーム(ポイントを落とさずに取る
という意味です)でブレークしてしまった
のです。
これで完全に流れを取り戻した、大坂
選手が、どこまでも互角に食い下がる
プリスコバ選手を、おさえこんで、
決勝への切符を手にしたという事
だったのです。
最後まで攻めのテニスを貫いた大坂選手
のメンタルの強さは、まさに本物でした。
もちろん決勝のクビトバ選手は、
ウィンブルドンで二回も優勝している
強敵ですが、今の大坂選手ならと思わせる
素晴らしい準決勝でした。
決勝を楽しみに待ちましょう(^^)/